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旅カメラと共に

DP2 Merrill・Leicaあたりで撮っているらしい

旅行向きの単焦点レンズを選ぼう

 カメラは買ったものの、旅行に行くときにどんなレンズを持って行けばいいのかと悩む人は多いことでしょう。私もその一人です。特に、もう少しだけ凝った撮り方をしたいと思う人には尚更悩ましいことだと思います。

 ミラーレスのカメラが普及すると同時に、写真の面白さに気づいた人も多いことでしょう。しかしカメラ本体に付いてきた標準のズームレンズに、どうにも飽き足らない人も多いと思います。そんな方にとって、単焦点レンズを追加するというのは大変面白い選択肢です。

 特に旅に出たい時、もう少しだけ凝った写真を撮りたいと思うのではないでしょうか? そんな方に、良い単焦点レンズとは何なのか、そしてどんな画角がいいのでしょうか。(以下35mm判換算/フルサイズ相当での画角で表示していきます) 

 

50mm 単焦点レンズ

(LeicaM9 + Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical フランス・トゥールーズf:id:koza-photo:20130925013945j:plain

 標準レンズとも称され、古くよりスタンダードな扱いを受けてきた画角です。高性能かつ廉価なレンズも多く、ボケを生かした美しい描写が楽しめます。ただし、よほど焦点となるものをしっかり捉えなければ、意味不明な写真になることは間違いありません。35mmでは、まだ「なんとなく綺麗な景色だね」ぐらいで済んでいたものが、50mmでは「は?」となる可能性すらあります。

(LeicaM9 + Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical フランス・トゥールーズf:id:koza-photo:20130925020751j:plain

 とはいえボケを生かした描写は写真の面白さを体験するのに絶好であり、特に何らかの意図をもって切り取っていくスタイルにはとても良い画角です。本来写真とは、人の意思をもって、現実を改変する主体的な思想が欠かせない芸術なのですから、そういうポジティブな写真の楽しみ方をするにはとても良い画角です。

 旅先で出会った人の生き様や、その姿を生かした背景描写など、ドラマチックな表現を好むのに適しています。 初心者のレベルから少しステップアップして、ちょっと凝った撮影をしてみたいという人にオススメの画角ですね。

富士フイルム XF35mmF1.4 R の写真(52mm相当) / フォクトレンダー NOKTON50mm F1.5 の写真 / キヤノン EF 50mmF1.4 USM の写真 / SIGMA Lens 30mm F2.8(DP2 Merrill)の写真(45mm相当)

 

35mm 単焦点レンズ

CONTAX T3 Sonnar T* 35mm F2.8 横浜・大さん橋f:id:koza-photo:20140727223343j:plain

 少し前のフィルム式コンパクトカメラには、このぐらいの画角のレンズが付いていることが多く、景色を撮ったり、手元のちょっとした小物を撮ったりするのに好都合な画角です。ボケを生かすことのできるレンズも多く、ありのままというより、少し作者の意図を込めやすく、かといって癖も強すぎず、様々な被写体に対応できる汎用性の高い画角と言えるでしょう。

 しかし、漫然と撮ると非常に凡庸なものとなり、何を考えて撮ったのかよく分からない写真ともなりかねません。そういう意味で、撮り手の能力を要求される画角とも言えます。

EOS 5D + Distagon T* 35mm F1.4)f:id:koza-photo:20071119160035j:plain

 旅先では、建物の並ぶ街の風景を撮るには少し狭すぎますが、人と街並み、あるいは物と街並みという組み合わせなら色々と凝ったものが撮れるでしょう。雄大な景色の中で、ここという部分を意識して撮るにも好都合な画角です。 28mmか35mmか好みが分かれるところでもありますが、旅に出かけるときに、単焦点レンズを一本持って行きたいというのなら、とても向いている画角だと思います。

Summilux 35mm F1.4 2ndの写真 / カールツァイス Sonnar T* 35mm F2.8(CONTAX T3)の写真

 

28mm 単焦点レンズ

FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF18mmF2 R オランダ・アムステルダムスキポール空港f:id:koza-photo:20130928151711j:plain

  前回の記事でも書きましたが、素直に綺麗な風景や見た目のあるがままの光景を描写するのに適した画角です。東京の中心部のように建物が建て込んでいる場所で撮るときに、35mmでは画角が狭すぎる場合がありますが、28mmであれば意図通りの撮影が可能になることでしょう。この風景は面白いと思って撮ると、それほど失敗しない画角ではあります。

 しかしながら広い画角ゆえに余計なものが入り込み、何を意図したのか分からず、散漫になりやすいという点に注意しなければなりません。余計なものを排除するために、人通りが途絶えるのを待ったり、映り込む物体の配置や光線状況が整うのを待ったり、余白のバランスを考えたり……という執念によってベストな写真に持って行く必要があります。

 なんとなく広く景色が写るからといって、手を抜いて撮影するとそれなりの写真になってしまいます。 普通に撮れるように見えて、実はそう簡単でもないと言える画角ですね。

富士フイルム XF18mmF2 R の写真 (27mm相当)

 

21mm 単焦点レンズ

CONTAX G2 Biogon T* 21mm F2.8 京都・東福寺方丈庭園)f:id:koza-photo:20140727224410j:plain

 広角寄りで、少し誇張した画角になりますが、基本的に広大な風景や、都会的な景色も一枚にドラマティックに一枚に収めることができます。特に高層ビルの立ち並ぶ街中など現代の風景にはマッチした絵になります。

 旅先の現代建築や、少しアーティスティックな眺めに対して、こちらもアートな気持ちで応戦できる画角であり、その意図に応える素晴らしいレンズが昔から揃っている画角です。

 しかしながらこれ一本で絵を撮っていくのはなかなか難しく、レンズ交換の難しい土地ではなかなか取り出しにくいところかもしれません。特にこれを使いたいという場面に持って行くのがいいのではないでしょうか。

Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)の写真

 

15mm 単焦点レンズ

Leica M9 + Voigtlander SUPER WIDE HELIER 15mm F4.5 II フランス・ボルドー・ワインショップ)f:id:koza-photo:20130927222623j:plain

 超広角とも称される画角であり、予想外の視界が一枚に収まるという点で、非常に極端な絵となるレンズです。それだけインパクトの強い場所に行くときに適していますが、いずれにしてもレンズの個性に負けない強い思想をもって撮影に臨むことが必要になります。狙い撃ちしたい場所があるときに適した一本でしょう。

Leica M9 + Voigtlander SUPER WIDE HELIER 15mm F4.5 II 姫路城)f:id:koza-photo:20130824141244j:plain

 旅先でこれ一本で通すのは非常に難しいところがあるので、ある程度自分なりの方向性を見定めてから手にするのが良いかと思います。

フォクトレンダー SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II の写真

 

 今まで50mmより広角側をご紹介しました。では逆に望遠側はどうでしょうか。

 

85mm 単焦点レンズ

CONTAX Aria + Planar T*85mm F1.4 AEG 鎌倉)f:id:koza-photo:20140727230734j:plain

 一般的に、ポートレート向けに適していると言われる画角であり、強いボケを生かした人物撮影に向いています。例えばお祭のような、足場が固定されているような場で、何らかの被写体にフォーカスをした撮影をし、それもボケを強調したいという場合には、ズームレンズでは実現できない美しい描写が楽しめます。

 さらに強い個性が反映されるので、周りの風景というよりは、強くピントを当てた撮影をしたいというときに適しています。 

カールツァイス Planar T* 85mm F1.4 AEG(YASHICA/CONTAX MF用)の写真 / キヤノン EF85mm F1.8 USMの写真

 

135mm 単焦点レンズ

EOS 5D MarkII + EF135mm L USM)f:id:koza-photo:20101031162557j:plain

 ここまで来ると、こういうレンズを持っていること自体が特殊なことなのですが、とにかく美しいボケから来る絵画的な描写が楽します。

 被写体が定まっていて、特にフォーカスをさせたいものが事前に決まっているときに最適です。カメラを2台持っていて、1台で全体の情景をズームレンズで撮り、この1台でピンポイントの人の表情を狙い撃つというような撮り方に向いています。

EOS 5D + EF135mm L USM 東京ゲームショウf:id:koza-photo:20110915170525j:plain

 旅先でこれ一本で通すのは難しいでしょうが、お祭の場を少し離れたところから狙ったり、子ども達の表情を警戒されない遠さで狙ってみるということもできるでしょう。 面白い絵作りに挑戦できるレンズなのは間違いありません。

キヤノン EF135mmF2 USM の写真

 

最後に……

 レンズをどうしようか考えるということは、何を一番撮りたいのか、自分はどういうスタイルで撮りたいのかということを考えることでもあります。それはそう簡単には決まらないものだと思います。

 いいなと思える写真に出会うこと、そしてそれが、広角なのか、標準なのか、望遠なのかということを考えてみるとヒントになるかもしれません。それはメーカーのパンフレットでも写真雑誌でも、何でもいいと思います。出会ってみることが一つのヒントになるのではないでしょうか。

 

旅行記と個別のレンズのレビューはこちらへ → KoZaLog -風景観察感-

海外旅行向きのレンズは何か? 単焦点28mmを持って世界へ (XF18mmF2 R 作例)

 海外旅行にはどのようなレンズを持って行きますか? 写真好きの方は、すでにお気に入りのレンズがあるという人もいるでしょう。その一方で何となくカメラに付いていたレンズを持って行く人も多いのではないでしょうか。 

 ミラーレスのデジタルカメラは今やデジカメ市場の中心にいます。キヤノンのEOS M、ソニーのNEX、αシリーズ、オリンパスのPEN、OM-Dシリーズ、富士フイルムのXシリーズ、パナソニックLUMIXシリーズなどがその典型です。

  これらのボディはいずれも軽量で、レンズもコンパクトなものを付けたくなります。ところが、ボディにセットで付いてくるズームレンズは、お手軽が故に光を多く取り込めないF値の大きいレンズが多く、そのためボケを作りにくいのです(例えばEOS M2のレンズキットとして付属するEF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STMというレンズは、望遠域でF5.6という性能ですが、そのクラスの単焦点標準レンズから4段階絞り込んだ暗さに相当します)。また描写も今ひとつというものが多いです。こうなると腕がある人でも良い写真をひねり出すのは相当苦労するところです。

  したがって、初心者の方であってもキットレンズに頼らず、単焦点レンズを追加することは大いにお勧めなのです。単焦点レンズはサイズ感からしてもミラーレスに合いますし、ボケを生かしやすい良レンズが多く、大いに活躍してくれることでしょう。

  ただ、いざ買おうとすると困ることもあります。例えば、ズームレンズを中心に使っているとあまり意識しない言葉があります。広角、標準、望遠という言葉です。ズームレンズを使っていると何の意識もなく撮れる範囲(画角)が決まってしまうので、商品宣伝には「望遠ズームレンズ」と書いてあっても、実際のところ「望遠」という言葉をあまり意識しない人がほとんどなのではないでしょうか。

  しかしながら、単焦点という画角を変えられないレンズにおいては、どの画角のレンズを選ぶかが、どのような写真を撮るかのキーとなってきます。

   一般には50mmあたりを標準と呼ぶことが多く、写真学校でも最初の一本は50mmだったということもあるようです。また、レンズが交換できないコンパクトカメラでは35mmのレンズを備えたものが多くありました(ニコン35TiCONTAX T3+Sonnar T* 2.8/35など←いいカメラです!)。35mmだと自然な風景も広く一枚の写真に落とし込め、近寄ればボケを生かすことができるなど、何かと便利な画角と言えます。いかにも観光!という場面でも、記念写真!という場面でも活躍してくれます。

  ただ今回取り上げたいのは、35mmよりもちょっと広い28mmという画角のレンズのことです。ちなみにセンサーがAPS-Cサイズのデジタルカメラでは、18mmと表示してあるレンズぐらいが、フルサイズでいうところの28mmの画角となってきます。富士フイルムX-Pro1にフジノンXF18mmF2 Rの組み合わせを例にご紹介していきましょう。

※28mm以外の画角についての紹介はこちらの記事(旅行向きの単焦点レンズを選ぼう )をご覧下さい! 

 

28mmレンズの特徴とは

FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF18mmF2 R オランダ・アムステルダム上空)f:id:koza-photo:20130928141853j:plain

   28mmというのは、35mmよりも見た目に近い印象で、大自然など迫力ある眺望を一枚に納める力を持つ画角です。35mmよりも世界の広がりが感じられ、力強さを感じられると同時に、21mmほど誇張しすぎずいやらしさも少ないと言えます。 

  超広角で写真を撮ると、非常にインパクトのある絵は撮れるのですが、押しつけがましくて興ざめとなることも否定できません。そういう意味で28mmは素直な画角と言えるでしょう。

  一方で35mmは、少し広さを感じさせつつ世界を捨象することもできるので、個性や主観といったものが絵に込めやすいというところがあります(ただこの面ではボケが生かせる50mmに負ける面もあります)。その点で28mmは、少し空間に間が空いたりして、35mmよりもメッセージ性が込めにくい難しさがあります。

 したがって、28mmは自然の大パノラマなど、風景を被写体にした場面では問題無く活躍してくれますが、それ以外の場面では撮影者の腕に左右される部分がでてくるのです。

 と、聞くと、難しそうだから止めておこうという風に思ってしまうかもしれませんが、あえてレンズ交換式のカメラをお持ちなら、むしろここを攻略できると写真が面白くなると考え直してみてはどうでしょうか? 

 

 28mmレンズを攻略する

FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF18mmF2 R アムステルダムスキポール空港f:id:koza-photo:20130922011100j:plain

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 画角の広さ故に余白が出来たり、空間が広がるというのは、それだけ雑な要素が入りがちだということになります。一番下の写真で、SUSHI BARの周りに人が入り込んでいたらあまり絵にならなかったでしょう。ちなみに、スキポール空港のこのSUSHI BARには日本人も働いていらっしゃるとのことで、パティシエをやられていた方だそうです……。

 スキポール空港はヨーロッパを代表するハブ空港です。したがって多くの人が往来していて常にごった返しています。しかし多少待てば、狙い通りになる瞬間は必ずやってきます。逆に前を横切る方のシルエットがとても面白いこともあるでしょう。写真の中の要素をどう除外し、どう入れていくかという戦略性が28mmでは特に生きてきます。(「そんな待ちの姿勢は気にくわないぜ」という熱いポリシーの方には50mmあたりが向いているかもしれません → 旅行向きの単焦点レンズを選ぼう )

 安直にズームレンズを使っていると、つい待つということを忘れます。なかなか機会の無い旅先だからこそ素晴らしい瞬間を待つべきでしょう。

 

FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF18mmF2 R フランス・ルルドf:id:koza-photo:20130923154142j:plain

 陰影を使うというのも戦略の一つです。広がりがあるのなら、そこを影で埋め尽くし、ピンポイントに光を置くことでターゲットを引き立たせることができます。上の写真で35mmを使った場合、窓と椅子の距離感と空間の広がりが伝わりません。28mmだからこそ見た目に自然で、かつ意図を持った絵になります。陰影による戦略がマッチする画角なのです。

 そしてXF18mmF2Rは、その意図に沿った絵作りをしてくれるので、とても心強いですね。

 こうして、28mmを使いこなすことで、写真の面白さというものや撮影の戦略性というものが見えてくるのです。

 

 海外旅行での街スナップで使う

FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF18mmF2 R フランス・ボルドー市内) f:id:koza-photo:20130927042101j:plain

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  海外旅行で写真を撮るとき、都市でのスナップを撮ることも多いのではないでしょうか。街で写真を撮ってみると、案外道路の向こうまでの距離が短いことに気づかされます。歴史ある狭い路地の多い街なら尚更です。そのため人の体も中途半端に切れてしまって、何を撮ろうとしていたのか訳が分からなくなることもしばしば起きます。

 看板や窓、自転車などをピンポイントで狙いたいなら標準から少し望遠気味のレンズをチョイスすることによって、非常に個性的な写真が撮れます。これはこれで楽しいでしょう。

 一方、街の風景をありのままに撮りつつ、撮影の面白さを楽しみたいということなら、28mmが一番面白いと思います。

 

 とはいえ難しい28mm

 FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF18mmF2 R フランス・ボルドー・ブルス広場)f:id:koza-photo:20130928015344j:plain

 パースを強調した表現や、ボケを使った抽象的な表現が使えない分、28mmというのはとても難しい画角で、カメラ好きの人の間でも苦手とする人が少なくありません。

 だからこそこの画角を攻め落としてみることが、とてもいい海外旅行写真を撮ることの一歩になると思います。これができれば、きっと他のレンズを使っても良い写真を撮ることができることでしょう。ぜひ28mmレンズを楽しんでみてください!

SIGMA Merrillシリーズでスイスの山並みを攻略する

 高解像度のDP2Merrillを持つ者にとって、岩肌というのはとても魅力的な被写体です。

 峻厳たる山並みを、緊張感を持って写し取るのは並大抵の機材では許されないところですが、手の内に収まるコンパクトなカメラがとんでもない絵を作り出すのは想像しがたいところがあります。

 ところが、このカメラはやってくれるのです。 

f:id:koza-photo:20120815234813j:plainスイス・ブリエンツ湖

 スイス中部の湖畔の街・ブリエンツからインターラーケンまで、鉄道会社の運営する船で旅します。船から眺める湖畔の街並みと岩肌の組み合わせが実に見事であり、また氷河から溶け込んだ水が薄緑色の不思議な色合いを見せてくれます。

 その風景にさりげなくMerrillを向けると、遠くにそびえる岩肌も、幾年もの時間を重ねて集積された地層一つ一つが、あたかも手に取って観察しているかのように鮮明に見て取れます。後付けでシャープネスをかけたような不自然さもありません。

 DP2 Merrillを買ったときはまだDP1 Merrillが発売されていなかったため、旅行にはもう少し広角の方がいいかなと思っていたのですが、いざ持ち出してみると雄大な景色を撮影するのにも大いに活躍してくれたのです。 

 ちなみにここではDP2 Merrillだけでなく、EOS 5D MarkII + EF24-70mm F2.8 L USMでも撮影したのですが、圧倒的にDP2 Merrillの解像力は上であり、誰が見ても分かるほどの差が付いていました。

 以前、デジタル風景写真をアピールする雑誌を読んでいたとき、そのサンプル写真を見ながら、「風景写真を撮るのはまだまだフィルムの方が良いな」と思っていたのですが、フィルムよりも美しい表現ができる時代がやってきたことを確信します。

 表現の革命、とは言い過ぎかもしれませんが、それほどに魅力のある絵だと思います。

f:id:koza-photo:20120809234015j:plainスイス・ヴェンゲン

 インターラーケンから鉄道で山を登り、ラウターブルンネン駅で乗り換えます。そこからは本格的な山岳鉄道の趣がありますが、ヴェンゲンという街は避暑のリゾートといった雰囲気で高級感のある街です。駅を降り、ふと見上げるとそこにはそそり立つ岩山と高所らしい澄んだ青い空が広がっていました。

 爽やかながらも、日差しは8月らしい力強さがあり、青い空と緑の草原はより鮮やかに輝いています。 

f:id:koza-photo:20120810012730j:plainスイス・ミューレン

 ミューレンという街はヴェンゲンの反対側の谷の上にあるのですが、こちらは街というより村といった方が良いぐらいの大変小さな集落です。東側にアルプス山脈を望む素晴らしい土地であり、夕刻には黄色みを増した光が岩肌を照らします。 

 シャドーの部分から雲の明るい部分まで、絶妙なトーンで臨場感あふれる絵を作り出してくれます。

 いよいよ日が暮れてくると、遠くから届く赤い光が中部アルプス三山の山頂を赤く照らし出します。山筋に残る雪と細かな地層と、恐ろしいほどにリアルな感触で伝わってきます。

f:id:koza-photo:20120809133533j:plainスイス・ミューレン

 ミューレンに一泊し、日が昇るのを待ちます。段々と明るくなる空に、巨峰・アイガーの真っ黒く力強い姿が浮かび上がります。これだけ輝度差があると山際の表現が破綻しそうになるところですが、等倍で見ても全く違和感がありません。

 雲の繊細な雰囲気と少し謎めいた色彩美をDP2 Merrillは表現してくれます。風景主体の旅においても大いに楽しめるカメラと言えるでしょう。

中世の街プラハ、モノトーンの世界を旅して

チェコ共和国の首都プラハ。中世の雰囲気を色濃く残すこの街ですが、1600年代以降はヨーロッパの政治・文化・芸術の本流からは外れていました。

 皮肉なことに大国の中心地で無くなったことで、以後の独仏、独ソの係争の中心からも外れ、第二次世界大戦においても、ソ連軍総反攻の主方向に当たることなく、ケーニヒスベルクカリーニングラード)のように美しい町並みが根こそぎ破壊される事態を避けることができました。

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EOS 5D MarkII + EF24-70mm L USM

 プラハは本屋の街でもあります。古本やアンティーク品を扱うお店も多く、枯れた雰囲気のあるお店が多く存在します。

キヤノンEOS 5D MarkIIと24-70mmLが、街のスナップであっても小物の撮影であっても汎用的かつ安定的にこなしてくれます。このコンビは大量に撮影したいときのメイン機材として活躍してくれているのですが、やはりケチのつけようの無い品質です。かなり時間の無い旅だったのですが、滞在中もトラブルフリーでした。

 

 

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EOS 5D MarkII + EF24-70mm L USM

街を歩いて楽しかったのはパリよりもプラハでした。市街地はどれもこの写真のように雰囲気があり、その陰影はどれもドラマチックです。

落ち着いた路地に見えるタトゥー屋の看板。少しアンダーグラウンドの香りが漂う空気の中で、痩せた犬が徘徊する景色は何とも不気味です。

 

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EOS 5D MarkII + EF24-70mm L USM

プラハの天文時計は、プラハの中でも一、二を争う名所です。からくり時計が起動するのを目当てに毎正時に多くの観光客が集まってきますが、室町時代の頃から設置されているこの時計の歴史からすれば、からくり時計の機能が加わったのはつい最近とも言って良いぐらいです。

中世においては正確な機構により時を刻む時計こそがサイエンスの象徴であり、最新鋭の機械でした。ヨーロッパの中心で時代の先を進んでいたモニュメントが、今では中世の趣を残すノスタルジックな場所になっているのは興味深いところです。

渋谷駅前のスクランブルと巨大ビジョンをそのまま300年残したら、きっと巨大なハードウェアで最新情報を得ることがなくなった未来の人には最高の遺物として目に映るのでしょう。

モノトーンで色彩を捨象し、シンプルに見える世界でこそ、歴史を見てきたモニュメントの持つ重みがより一層伝わってくるように感じます。

 

 

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EOS 5D MarkII + EF24-70mm L USM

パリの地下鉄の車両の中で、お金をせびる大道芸人に出くわしたとき、演奏の押し売りをしている癖になんて厚かましい人間なんだと呆れると同時に、日本の公共空間のクリーンさに改めて気づかされました。

一方、プラハも大道芸人は多く、観光名所で演奏をする人も多いのですが、「大道芸人」と言うには申し訳ないほど、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる人が多いことに驚きました。街の雰囲気にふさわしい「アート」がそこにはありました。多くの観光客もそのことに気づいたのでしょう。街角のカフェの一角には演奏に聴き入る聴衆の人だかりができていました。

彼女は何を思ってプラハで演奏していたのかは分かりません。しかし、モノトーンの街並みの一角で、モノトーンの風景に溶け込むアートを作り出す一人であったことは確かです。

 

 

DP2 Merrillとモノクロの世界

 SIGMA DP2 Merrillのモノクローム描写に、改めて唸らされました。

このシリーズは独特の色表現が特徴的ですが、FoveonX3の特性もあって、モノクロームの表現力もまた優れています。

昨今、現像ソフト「SPP」のバージョンアップにより、モノクロームの新たな楽しみがもたらされました。

と言いつつも、まだ使いこなしていないのが正直なところです。銀座・有楽町に出かけてみることとします。 

 f:id:koza-photo:20130602183605j:plain有楽町

 ちょっと眩しいようなそんな描写を出しつつ、シャドウを落としたコントラストの強いトーンも思いのままに表現できます。

  

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 銀座

 ガラス製の外壁が無限の如く連なる様子を果てしなく写し出します。

圧倒的な解像力が、モノクロで写し出されるシンプルな幾何学的な模様を力強く描写することを可能にしています。

SPPでシャドウを落としているのですが、実際にはデータは残っているので、逆にコントラストを付けないオールドレンズっぽい仕上げ方もできます。

  

 

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 シグマの超高解像カメラなどと聞いたらボケはどうなんだと言われそうですが、このボケも悪くないんです。 

 

  

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 これだけ解像力があってクッキリハッキリのモノクロームにすると、イラストのような人工的な印象がしてきますが、ノイズを乗せることでまた自然な雰囲気も出てきます。 

実はこの写真、歪曲収差を修正しているのですが、案外歪曲収差が大きいです。人工物に性能を発揮するカメラなだけに、そこがちょっと残念なところではありますね。

 

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デジタルで風景写真という風潮が進み出したときに、気になったのが樹木の際の不自然さでして、その点でまだまだ風景写真に使うにはつらいと思うことが多くありました。このカメラではその部分が一切無いというのが私の結論です。 

 

 

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 怖いぐらいの立体感があります。このような人工物に特に向いているカメラなのではと思います。モノクロでもそのイメージは変わらないですね。 

 

 

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 Adobe Photoshop Lightroomでトーンカーブを調整しています。人影を背景から分離させつつ、新幹線を適度な明度で仕上げるためにはSPPだとちょっと難しいところがあります。

 

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 文字の表面の鈍い輝きを正確に表現しつつ、銅板の地の凹凸を絶妙に表現してくれます。とんでもない曲者カメラのように表現されることも多いこのカメラですが、普通の場面の普通のスナップで、普通に力を発揮してくれることは言うまでもありません。

 

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 周辺減光はAdobe Photoshop Lightroomで表現。

 

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 撮ったものをレタッチしながら、今まで以上にDP2 Merrillで撮られた絵の面白さを感じてきました。コントラストのはっきりした絵的な表現もできますし、スナップらしい自然な描写ももちろん得意です。

これだけの解像力があると、岩肌や森の葉、高いところからの街の情景など、ちょっとザワザワした風景を撮りたくなるところですが、普通に使って力を発揮できるということを忘れてはいけないですね。