DP2 Merrillとモノクロの世界
SIGMA DP2 Merrillのモノクローム描写に、改めて唸らされました。
このシリーズは独特の色表現が特徴的ですが、FoveonX3の特性もあって、モノクロームの表現力もまた優れています。
昨今、現像ソフト「SPP」のバージョンアップにより、モノクロームの新たな楽しみがもたらされました。
と言いつつも、まだ使いこなしていないのが正直なところです。銀座・有楽町に出かけてみることとします。
有楽町
ちょっと眩しいようなそんな描写を出しつつ、シャドウを落としたコントラストの強いトーンも思いのままに表現できます。
銀座
ガラス製の外壁が無限の如く連なる様子を果てしなく写し出します。
圧倒的な解像力が、モノクロで写し出されるシンプルな幾何学的な模様を力強く描写することを可能にしています。
SPPでシャドウを落としているのですが、実際にはデータは残っているので、逆にコントラストを付けないオールドレンズっぽい仕上げ方もできます。
シグマの超高解像カメラなどと聞いたらボケはどうなんだと言われそうですが、このボケも悪くないんです。
これだけ解像力があってクッキリハッキリのモノクロームにすると、イラストのような人工的な印象がしてきますが、ノイズを乗せることでまた自然な雰囲気も出てきます。
実はこの写真、歪曲収差を修正しているのですが、案外歪曲収差が大きいです。人工物に性能を発揮するカメラなだけに、そこがちょっと残念なところではありますね。
デジタルで風景写真という風潮が進み出したときに、気になったのが樹木の際の不自然さでして、その点でまだまだ風景写真に使うにはつらいと思うことが多くありました。このカメラではその部分が一切無いというのが私の結論です。
怖いぐらいの立体感があります。このような人工物に特に向いているカメラなのではと思います。モノクロでもそのイメージは変わらないですね。
Adobe Photoshop Lightroomでトーンカーブを調整しています。人影を背景から分離させつつ、新幹線を適度な明度で仕上げるためにはSPPだとちょっと難しいところがあります。
文字の表面の鈍い輝きを正確に表現しつつ、銅板の地の凹凸を絶妙に表現してくれます。とんでもない曲者カメラのように表現されることも多いこのカメラですが、普通の場面の普通のスナップで、普通に力を発揮してくれることは言うまでもありません。
周辺減光はAdobe Photoshop Lightroomで表現。
撮ったものをレタッチしながら、今まで以上にDP2 Merrillで撮られた絵の面白さを感じてきました。コントラストのはっきりした絵的な表現もできますし、スナップらしい自然な描写ももちろん得意です。
これだけの解像力があると、岩肌や森の葉、高いところからの街の情景など、ちょっとザワザワした風景を撮りたくなるところですが、普通に使って力を発揮できるということを忘れてはいけないですね。