旅カメラと共に

DP2 Merrill・Leicaあたりで撮っているらしい

SIGMA Merrillシリーズでスイスの山並みを攻略する

 高解像度のDP2Merrillを持つ者にとって、岩肌というのはとても魅力的な被写体です。

 峻厳たる山並みを、緊張感を持って写し取るのは並大抵の機材では許されないところですが、手の内に収まるコンパクトなカメラがとんでもない絵を作り出すのは想像しがたいところがあります。

 ところが、このカメラはやってくれるのです。 

f:id:koza-photo:20120815234813j:plainスイス・ブリエンツ湖

 スイス中部の湖畔の街・ブリエンツからインターラーケンまで、鉄道会社の運営する船で旅します。船から眺める湖畔の街並みと岩肌の組み合わせが実に見事であり、また氷河から溶け込んだ水が薄緑色の不思議な色合いを見せてくれます。

 その風景にさりげなくMerrillを向けると、遠くにそびえる岩肌も、幾年もの時間を重ねて集積された地層一つ一つが、あたかも手に取って観察しているかのように鮮明に見て取れます。後付けでシャープネスをかけたような不自然さもありません。

 DP2 Merrillを買ったときはまだDP1 Merrillが発売されていなかったため、旅行にはもう少し広角の方がいいかなと思っていたのですが、いざ持ち出してみると雄大な景色を撮影するのにも大いに活躍してくれたのです。 

 ちなみにここではDP2 Merrillだけでなく、EOS 5D MarkII + EF24-70mm F2.8 L USMでも撮影したのですが、圧倒的にDP2 Merrillの解像力は上であり、誰が見ても分かるほどの差が付いていました。

 以前、デジタル風景写真をアピールする雑誌を読んでいたとき、そのサンプル写真を見ながら、「風景写真を撮るのはまだまだフィルムの方が良いな」と思っていたのですが、フィルムよりも美しい表現ができる時代がやってきたことを確信します。

 表現の革命、とは言い過ぎかもしれませんが、それほどに魅力のある絵だと思います。

f:id:koza-photo:20120809234015j:plainスイス・ヴェンゲン

 インターラーケンから鉄道で山を登り、ラウターブルンネン駅で乗り換えます。そこからは本格的な山岳鉄道の趣がありますが、ヴェンゲンという街は避暑のリゾートといった雰囲気で高級感のある街です。駅を降り、ふと見上げるとそこにはそそり立つ岩山と高所らしい澄んだ青い空が広がっていました。

 爽やかながらも、日差しは8月らしい力強さがあり、青い空と緑の草原はより鮮やかに輝いています。 

f:id:koza-photo:20120810012730j:plainスイス・ミューレン

 ミューレンという街はヴェンゲンの反対側の谷の上にあるのですが、こちらは街というより村といった方が良いぐらいの大変小さな集落です。東側にアルプス山脈を望む素晴らしい土地であり、夕刻には黄色みを増した光が岩肌を照らします。 

 シャドーの部分から雲の明るい部分まで、絶妙なトーンで臨場感あふれる絵を作り出してくれます。

 いよいよ日が暮れてくると、遠くから届く赤い光が中部アルプス三山の山頂を赤く照らし出します。山筋に残る雪と細かな地層と、恐ろしいほどにリアルな感触で伝わってきます。

f:id:koza-photo:20120809133533j:plainスイス・ミューレン

 ミューレンに一泊し、日が昇るのを待ちます。段々と明るくなる空に、巨峰・アイガーの真っ黒く力強い姿が浮かび上がります。これだけ輝度差があると山際の表現が破綻しそうになるところですが、等倍で見ても全く違和感がありません。

 雲の繊細な雰囲気と少し謎めいた色彩美をDP2 Merrillは表現してくれます。風景主体の旅においても大いに楽しめるカメラと言えるでしょう。