旅カメラと共に

DP2 Merrill・Leicaあたりで撮っているらしい

旅行向きの単焦点レンズを選ぼう

 カメラは買ったものの、旅行に行くときにどんなレンズを持って行けばいいのかと悩む人は多いことでしょう。私もその一人です。特に、もう少しだけ凝った撮り方をしたいと思う人には尚更悩ましいことだと思います。

 ミラーレスのカメラが普及すると同時に、写真の面白さに気づいた人も多いことでしょう。しかしカメラ本体に付いてきた標準のズームレンズに、どうにも飽き足らない人も多いと思います。そんな方にとって、単焦点レンズを追加するというのは大変面白い選択肢です。

 特に旅に出たい時、もう少しだけ凝った写真を撮りたいと思うのではないでしょうか? そんな方に、良い単焦点レンズとは何なのか、そしてどんな画角がいいのでしょうか。(以下35mm判換算/フルサイズ相当での画角で表示していきます) 

 

50mm 単焦点レンズ

(LeicaM9 + Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical フランス・トゥールーズf:id:koza-photo:20130925013945j:plain

 標準レンズとも称され、古くよりスタンダードな扱いを受けてきた画角です。高性能かつ廉価なレンズも多く、ボケを生かした美しい描写が楽しめます。ただし、よほど焦点となるものをしっかり捉えなければ、意味不明な写真になることは間違いありません。35mmでは、まだ「なんとなく綺麗な景色だね」ぐらいで済んでいたものが、50mmでは「は?」となる可能性すらあります。

(LeicaM9 + Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical フランス・トゥールーズf:id:koza-photo:20130925020751j:plain

 とはいえボケを生かした描写は写真の面白さを体験するのに絶好であり、特に何らかの意図をもって切り取っていくスタイルにはとても良い画角です。本来写真とは、人の意思をもって、現実を改変する主体的な思想が欠かせない芸術なのですから、そういうポジティブな写真の楽しみ方をするにはとても良い画角です。

 旅先で出会った人の生き様や、その姿を生かした背景描写など、ドラマチックな表現を好むのに適しています。 初心者のレベルから少しステップアップして、ちょっと凝った撮影をしてみたいという人にオススメの画角ですね。

富士フイルム XF35mmF1.4 R の写真(52mm相当) / フォクトレンダー NOKTON50mm F1.5 の写真 / キヤノン EF 50mmF1.4 USM の写真 / SIGMA Lens 30mm F2.8(DP2 Merrill)の写真(45mm相当)

 

35mm 単焦点レンズ

CONTAX T3 Sonnar T* 35mm F2.8 横浜・大さん橋f:id:koza-photo:20140727223343j:plain

 少し前のフィルム式コンパクトカメラには、このぐらいの画角のレンズが付いていることが多く、景色を撮ったり、手元のちょっとした小物を撮ったりするのに好都合な画角です。ボケを生かすことのできるレンズも多く、ありのままというより、少し作者の意図を込めやすく、かといって癖も強すぎず、様々な被写体に対応できる汎用性の高い画角と言えるでしょう。

 しかし、漫然と撮ると非常に凡庸なものとなり、何を考えて撮ったのかよく分からない写真ともなりかねません。そういう意味で、撮り手の能力を要求される画角とも言えます。

EOS 5D + Distagon T* 35mm F1.4)f:id:koza-photo:20071119160035j:plain

 旅先では、建物の並ぶ街の風景を撮るには少し狭すぎますが、人と街並み、あるいは物と街並みという組み合わせなら色々と凝ったものが撮れるでしょう。雄大な景色の中で、ここという部分を意識して撮るにも好都合な画角です。 28mmか35mmか好みが分かれるところでもありますが、旅に出かけるときに、単焦点レンズを一本持って行きたいというのなら、とても向いている画角だと思います。

Summilux 35mm F1.4 2ndの写真 / カールツァイス Sonnar T* 35mm F2.8(CONTAX T3)の写真

 

28mm 単焦点レンズ

FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF18mmF2 R オランダ・アムステルダムスキポール空港f:id:koza-photo:20130928151711j:plain

  前回の記事でも書きましたが、素直に綺麗な風景や見た目のあるがままの光景を描写するのに適した画角です。東京の中心部のように建物が建て込んでいる場所で撮るときに、35mmでは画角が狭すぎる場合がありますが、28mmであれば意図通りの撮影が可能になることでしょう。この風景は面白いと思って撮ると、それほど失敗しない画角ではあります。

 しかしながら広い画角ゆえに余計なものが入り込み、何を意図したのか分からず、散漫になりやすいという点に注意しなければなりません。余計なものを排除するために、人通りが途絶えるのを待ったり、映り込む物体の配置や光線状況が整うのを待ったり、余白のバランスを考えたり……という執念によってベストな写真に持って行く必要があります。

 なんとなく広く景色が写るからといって、手を抜いて撮影するとそれなりの写真になってしまいます。 普通に撮れるように見えて、実はそう簡単でもないと言える画角ですね。

富士フイルム XF18mmF2 R の写真 (27mm相当)

 

21mm 単焦点レンズ

CONTAX G2 Biogon T* 21mm F2.8 京都・東福寺方丈庭園)f:id:koza-photo:20140727224410j:plain

 広角寄りで、少し誇張した画角になりますが、基本的に広大な風景や、都会的な景色も一枚にドラマティックに一枚に収めることができます。特に高層ビルの立ち並ぶ街中など現代の風景にはマッチした絵になります。

 旅先の現代建築や、少しアーティスティックな眺めに対して、こちらもアートな気持ちで応戦できる画角であり、その意図に応える素晴らしいレンズが昔から揃っている画角です。

 しかしながらこれ一本で絵を撮っていくのはなかなか難しく、レンズ交換の難しい土地ではなかなか取り出しにくいところかもしれません。特にこれを使いたいという場面に持って行くのがいいのではないでしょうか。

Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)の写真

 

15mm 単焦点レンズ

Leica M9 + Voigtlander SUPER WIDE HELIER 15mm F4.5 II フランス・ボルドー・ワインショップ)f:id:koza-photo:20130927222623j:plain

 超広角とも称される画角であり、予想外の視界が一枚に収まるという点で、非常に極端な絵となるレンズです。それだけインパクトの強い場所に行くときに適していますが、いずれにしてもレンズの個性に負けない強い思想をもって撮影に臨むことが必要になります。狙い撃ちしたい場所があるときに適した一本でしょう。

Leica M9 + Voigtlander SUPER WIDE HELIER 15mm F4.5 II 姫路城)f:id:koza-photo:20130824141244j:plain

 旅先でこれ一本で通すのは非常に難しいところがあるので、ある程度自分なりの方向性を見定めてから手にするのが良いかと思います。

フォクトレンダー SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II の写真

 

 今まで50mmより広角側をご紹介しました。では逆に望遠側はどうでしょうか。

 

85mm 単焦点レンズ

CONTAX Aria + Planar T*85mm F1.4 AEG 鎌倉)f:id:koza-photo:20140727230734j:plain

 一般的に、ポートレート向けに適していると言われる画角であり、強いボケを生かした人物撮影に向いています。例えばお祭のような、足場が固定されているような場で、何らかの被写体にフォーカスをした撮影をし、それもボケを強調したいという場合には、ズームレンズでは実現できない美しい描写が楽しめます。

 さらに強い個性が反映されるので、周りの風景というよりは、強くピントを当てた撮影をしたいというときに適しています。 

カールツァイス Planar T* 85mm F1.4 AEG(YASHICA/CONTAX MF用)の写真 / キヤノン EF85mm F1.8 USMの写真

 

135mm 単焦点レンズ

EOS 5D MarkII + EF135mm L USM)f:id:koza-photo:20101031162557j:plain

 ここまで来ると、こういうレンズを持っていること自体が特殊なことなのですが、とにかく美しいボケから来る絵画的な描写が楽します。

 被写体が定まっていて、特にフォーカスをさせたいものが事前に決まっているときに最適です。カメラを2台持っていて、1台で全体の情景をズームレンズで撮り、この1台でピンポイントの人の表情を狙い撃つというような撮り方に向いています。

EOS 5D + EF135mm L USM 東京ゲームショウf:id:koza-photo:20110915170525j:plain

 旅先でこれ一本で通すのは難しいでしょうが、お祭の場を少し離れたところから狙ったり、子ども達の表情を警戒されない遠さで狙ってみるということもできるでしょう。 面白い絵作りに挑戦できるレンズなのは間違いありません。

キヤノン EF135mmF2 USM の写真

 

最後に……

 レンズをどうしようか考えるということは、何を一番撮りたいのか、自分はどういうスタイルで撮りたいのかということを考えることでもあります。それはそう簡単には決まらないものだと思います。

 いいなと思える写真に出会うこと、そしてそれが、広角なのか、標準なのか、望遠なのかということを考えてみるとヒントになるかもしれません。それはメーカーのパンフレットでも写真雑誌でも、何でもいいと思います。出会ってみることが一つのヒントになるのではないでしょうか。

 

旅行記と個別のレンズのレビューはこちらへ → KoZaLog -風景観察感-